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2/デュオのkyokoのレビュー・感想・評価

2/デュオ(1997年製作の映画)
3.8
前から気になっていた諏訪監督。「ライオンは今夜死ぬ」を控えているし、とりあえずNetflixで拾えるものから。

役者志望の「カネくれ」男(圭)とそれをささえる女(優)。
男の口から「結婚」という言葉が出てきたとたん、女は夢から覚めたように恐れ戦き、バランスを崩し始める。
バランスを保つためには「彼が自分と結婚したい理由」が必要だ。大した理由なんぞ持たない男はそんな女に苛つき、感情を高ぶらせる。

なぜ結婚したいのか、なぜ結婚したい理由を知りたいのか。
それぞれ監督がインタビューをして役者の口から語らせるのだが、それによってまた物語が動いていく。
役者自身から出た言葉なのか、役者に憑いた役が言わせているのか分からない。
意味不明のセリフ、全てを映さないカメラワーク。
台本のない即興芝居は、グロテスクと言っていいほどの生々しさをもたらす。
こんなにもしんどい映画は他にないかもしれない。

柳愛里という名前と面差しからすぐに連想できるように、彼女は作家柳美里の妹である(ちなみにエンドロールの撮影協力に父親の名前もあった)。
私は柳美里が大キライだ。最初は姉ちゃんにクリソツの顔が嫌で嫌でそれだけで観るのをやめようかと思ったが、リアルに壊れていく様は姉を超えてやがて「優」そのものになった。むしろ西島秀俊のほうが最後まで「圭」という男になりきれず彼女に対して困惑したままのように見えたが、それもまたリアルか。
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