Yoko

2/デュオのYokoのレビュー・感想・評価

2/デュオ(1997年製作の映画)
4.3
ブティックで働く優(ユウ)、同居している彼氏の圭(ケイ)。
役者の仕事がうまくいっておらず不満をぶつけることが多くなってきた圭を前に、優が選んだ行動は…。


誰かと一緒にいることの難しさや有難さ。
カップルの何気ない会話の心地よさは、「会話」になっている台詞の使いまわし(現場即興の極み!)や演技臭をまるで感じない自然な雰囲気によってもたらされており観ていて微笑ましさすらある。
しかし、心地よさを下支えしていたはずの自然、物語の進展につれて変化する二人の関係を通して生まれる痛みや苦痛を抉り出す。
とても恐ろしい息の詰まるような長回し。
本来存在してはいけないはずの「外部」との会話によって明らかにされるキャラクターの内面、このおかげでまだ明るく余裕が垣間見えることになんとかホッとさせられた。
この演出は演者自身の内面とも通じているようで、生半可なモキュメンタリーではなく、本当にドキュメンタリーとして作っているのだろうかと錯覚させられるつくりも面白い。
頭ではわかっているんだけど路頭にさまより人を傷つけてしまう西島のわだかまりも素晴らしかったが、柳愛里の泣きや表情の迫真にはなぜか自分が彼女を傷つけてしまったような気分になりとても心が痛い。
最近はほとんど映画には出ていないようだけども、この人もまた古き良き人の一人なのだろうか。
初諏訪作品の体験でしたが、ハネケとカサヴェテスの良さを抽出したような人が日本で活躍していたとはまだまだ邦画の底知れない凄さを楽しめそうで何より。
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