諏訪敦彦監督のデビュー作。先の見えない役者志望の男とそれを支える女の別れを描く。撮影までに脚本が完成しなかったことによる、即興での演出はフィクション映画の文法を破ったものになっており興味深かった。単焦点レンズで据えられたままの長回しは、閉塞感漂う二人の関係性を写し出してくる。画面から切れていく役者の立ち位置や、切り返すことなく後ろ姿ばかりを捉えたショット、再開後の薄暗い室内での会話シーンなど、本来見えるべきものが見えないからこそ伝わってくるものもある。
180916 国立映画アーカイブ
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諏訪敦彦監督トークショー、35mm