イチロヲ

乙女の祈りのイチロヲのレビュー・感想・評価

乙女の祈り(1994年製作の映画)
3.7
厳格な家庭で育てられた二人の少女が、その感受性の強さによってニヒリストとなり、ついにはタブーに触れる行為を犯してしまう。1954年のニュージーランドで実際に起きた事件の顛末を映像化した作品。当事者の日記の内容を下敷きにしている。

「自己実現、現実逃避、抑圧、反抗」などといった要素が、思春期の少女の中で玉石混淆したことにより、引き起こされた悲劇。

二人組の少女は、倫理的・宗教的タブーに対して、無自覚な反抗を繰り広げる。お互いのことを神格化させており、自己を確立させるための、かけがえのない存在にしている。

二人のレズビアン的な関係は、単なる同性愛者とは別次元のものだということ。ここが、最大のキーポイントとなる。加えて、宗教的抑圧に関しても、熟考する必要があるだろう。

少女が現実逃避したときの妄想描写にピーター・ジャクソンらしさがあり、映像面でも楽しむことができる。また、少女ジュリエットの「天才と狂人は紙一重」を体言しているエキセントリックな人間像というのにも、興味深いものがある。

(ちなみに、ジュリエットのモデルとなったアン・ペリーは、その想像力を活かしてミステリー小説のベストセラー作家になっている)