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ゲド戦記のRのネタバレレビュー・内容・結末

ゲド戦記(2006年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2006年のジブリ映画。

監督は宮崎駿の息子で「コクリコ坂から」の宮崎吾朗。

話は世界の均衡が失われた世界。一国の王子アレンは国王である父親を刺して、逃亡する最中、大賢者のハイタカと出会う。道中、ハイタカに命を助けられたアレンはハイタカと共に世界に災いを齎す元凶を探す旅に出るというもの。

金ローにて。

新鋭、宮崎吾朗の記念すべきデビュー作。

こう言えば、聞こえはいいが、何かと不遇な目に合う作品でもある。

何故か?それは宮崎吾朗がアニメ界の巨匠、宮崎駿の1人息子だから。

だから、「指輪物語」と並び称される英語圏におけるファンタジー文学の古典の待望のアニメ映画化なはずなのに、蓋を開ければ話題は「宮崎駿と宮崎吾朗の関係性」のものばかり。

何だろう、面白ければいいじゃないっ!!

まぁ、お世辞にも世間的には面白くなかったから、こんなん叩かれてるんだろうけど…。

ちなみに、おれ自身は原作は一作目まで読んだんだけど、途中で難しくて断念するというある意味フラットな状態。

今回中学か高校以来の2回目の鑑賞だったけど…結論から言うと言うほど悪くない!

序盤から王子アレンによる親殺しというかなりインパクトあるスタートから始まるわけなんだけど、少ない登場人物も適所に配置し、無駄ない展開のように感じた。

吹き替えの俳優陣もすげぇ上手いってわけじゃないけど、下手だったり聞きづらい印象は受けない(手島葵は独特の感じがあったけど、声が良い分全然あり)。

キャラクター自身に関しては可もなく不可もなくという感じで魅力的というよりかは凡庸な印象を受けたが、唯一今作で鈍い光を放つのが、名女優、田中裕子(「深夜食堂」)が声を当てた悪役クモ!!

男か女か一見すると分からないようなユニセックスな外見と終盤にかけての化け物じみた変容(熱演もあって、ちょっと笑っちゃうけど、インパクトがあって良かった!シオシオッてなるシーンが好き)がいちいちツボで実にイイ!!

声を当てた田中裕子はジブリ作品でいうと「もののけ姫」のエボシ御前があまりにも有名だが、御前の男前な雰囲気とは打って変わって、ミステリアスなヴィランを嬉々として演じていて、やはりこの人は吹き替えも上手いなぁと感じた。

あと、作画でいうと確かにジブリタッチの作画ではあるんだけど、所々あえてなのかラフなタッチで描かれていて、背景の美しさもありどことなく海外アニメ作品を観ている錯覚に陥った。

終盤もそれなりに上手くまとめているので、鑑賞後の感覚も決して悪くはないかなぁ。

多分「宮崎駿の息子」じゃなかったら、そして「ジブリ作品」でなかったらこれほど叩かれはしなかったんじゃないだろうか?

宇多丸さんの評論で宮崎吾朗の代わりにジブリはとんでもない逸材「細田守」を逃したってことを言ってたけど、やはりこの選択含めてジブリの黄金期の終焉はこの頃から始まってたのかもしれない。

今は御大、宮崎駿も新作に着手し、あろうことか同じく新作を公開する宮崎吾朗との連続公開?になることが発表されたことは何より嬉しいけど。

俺はいつか宮崎吾朗がやってくれると信じてるよ!!

だって、あれだけ叩かれたのに「自分のやりたいこと」を「アニメを作る」ことでコンスタントに続けてるんだから。

多分、俺だったらやめたくなる。

けど、宮崎吾朗にはそう言った世間でのイメージや評価に対する「何クソ根性」がある分、いつかアレンのように父親、宮崎駿を(ここではあえて)「殺す」ことが出来ると信じてます!!

頑張れ!!
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