なすび

ワイルド・ブリットのなすびのレビュー・感想・評価

ワイルド・ブリット(1990年製作の映画)
5.0
いやこれまじか………………………今まで見てきたジョンウー作品の全てを足したより100倍ヤバイ。圧倒的なまでの無慈悲な悲劇がエグすぎる。DVDとかあんま出てないっぽいんだけどこれ超傑作やで…ジョンウーが本気出したらこうなるって怖いよ…今までの「男たちの挽歌」とかこれに比べたら前菜、いやおやつのゼリーレベル。これはもう笑いとか一切なしに人が死んで死んで死にまくり銃を撃ちまくり爆発しまくり燃えまくり最後には友情までとことん破滅する。エグ中のエグ映画。正直今まで見た映画の中で1番えぐかったんだけど…笑 そんぐらいやばいです、伝われ…

舞台は1967年、文化大革命の最中の香港から始まる。トニーレオン、ジャッキーチュン、レイチーホン演じる3人は昔からの仲良し。3人は一攫千金を狙いやばいブツをベトナム戦争中のベトナムまで運ぶ仕事を請け負う…
まず文化大革命中の香港の混乱から描かれるんやけどほんと本気。すごいわ…最近韓国で「タクシー運転手」「1987 ある闘いの真実」など民主化闘争のヤバさを扱った映画が話題だけどジョンウーはすでに香港でやってたんやな…爆発物処理班の人がぶっ飛ばされて腕が飛ばされるのとか、まじか。。。って感じや…
そこからやばいブツを運んだ先ですったもんだあってペキンパーの「ゲッタウェイ」みたいなホテルでの銃撃戦。いやだからさ、普通こういうのって1つの映画のクライマックスとして1つあるわけやん…それがジョンウーだと5つくらいあってどれも激しい…こういうモリモリな感じはバーフバリにも繋がるような気がする…

んで色々あってベトナム兵に捕まり、ここからまさに地獄のジョンウー版「ディア・ハンター」が始まる……四方から銃を突きつけられて「目の前のやつを殺せ」ゲーム。エグすぎる…ほんとにきつい…泣き叫びながら半狂乱のうちになんとか乗り切るもついに友を殺せと言われ反撃に出る…そこから始まる殺し合い殺し合い撃ち合い撃ち合い爆発爆発地獄地獄地獄…この時の人の数とかヘリコプターからの銃撃、爆発のデカさとかほんと本気すぎてちびり散らす……ジョンウーが戦争描いたらヤベェんだなって身震いした

金に目が眩んで(というのも幼い頃から貧乏暮らしで父親に金が大事だと吹き込まれていたからなのだが)なんとレイチーホンは親友であるはずのジャッキーチュンの頭に弾丸をぶち込む…まじか…しかも自分の利益のためになんとベトナムの村人や子どもまで銃で殺していく…ダメだやめろ…やめろっっ😭😭😭

ジャッキーチュンは九死に一生を得るが打ち込まれた弾丸のせいで記憶を失い、痛みを忘れるために人を殺して稼いだお金で麻薬に溺れるようになる…ジャッキーチュンっておちゃらけたイメージでいつも元気な雰囲気なのに、ベトナムで捕まった時怯えて泣いて、記憶を失って狂って虚ろな目をしていて本当に怖かった…まじナイスキャストなんだけどさ……ジャッキーチュン😭

トニーレオンはジャッキーチュンの復讐をするためにレイチーホンと一騎打ちをする。カーアクションから燃え盛る炎に囲まれての撃ち合い。テンションがヤバイしめちゃくちゃ燃えてるし吹っ飛んでるし絶対撮影危ない。本気度がチゲェ…ここでも昔を回想したシーンと繋げて来たり心理戦的にもえぐい。とにかくエグエグエグで心が痛すぎる。。。。。。。泣けない、つらい、きつい。。。。

はぁ……………………ヤバかったけど超一大傑作です。「ディアハンター」が3時間でやったことをジョンウーは2時間チョイでその5倍ぐらいのヤバさで作り上げた。本当に凄い作品、、、

1つツッコミどころを挙げるとすれば……なぜベトナム戦争中のベトナムなんかに行くんだお前らはァァァァァァ!バカモン!!!!!危ないだろって!!!!(まあ行ってみないとそんなことわかんないよね…)

終始流れてる音楽が「ハッピーバースデーディアー〇〇ちゃん〜〜」のメロディにしか聞こえなくて変な気持ちになった…

こんなにツラミな状況の唯一の救いはトニーレオンが若くてめちゃくちゃかわいいことかな…小動物みたいでかわいいね…トニーレオンって太くて綺麗な平行眉なんだけど、泣くときと険しい顔した時に眉毛が上がるのがすんごいかわいい。そういう眉の動き方するのね!!!髪の毛もくるくるわしゃわしゃでかわいいしお肌もツルツルだしいいね〜〜

ジャッキーチュンももちろんかわいい!友情モノにジャッキーチュンは適役すぎてつらかった…

レイチーホンもいい感じだったな〜

とにかくとにかくの傑作。大傑作。香港映画史、ベトナム戦争映画史、アクション映画史に名を連ねておかしくないものすごい熱量の最高の映画体験。自分の中の最強トラウマ映画になりましたァァァ!!!胃が痛い!でも見てよかったぁぁ!!!おススメです
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