ちくわ

鉄塔武蔵野線のちくわのレビュー・感想・評価

鉄塔武蔵野線(1997年製作の映画)
4.8
まだ自分がこの映画に出てきた伊藤淳史くらいの年齢のときに初めて観て、20年近く経って改めて観返してみたら、何か大切なものを幼少期に置いてきてしまったという寂しさが込み上げてきた。
少年がたまたま興味を惹かれた対象が鉄塔のその先であっただけで、この川の最上流はどんな場所なんだろう、この道路をずっと直進したらどこに行くのだろうみたいな、身の回りに点在していた好奇心は誰にでもあったと思う。大人になってしまった今、興味関心の対象を追いかける時間すら惜しくなり、そもそも身の回りの何かに疑問を感じ追求することさえしなくなってしまい、あのときの情熱を愛おしくさえ思う。
きっと劇中の伊藤淳史も、大人になった今鉄塔をひたすら辿ったあの夏のことを思い出して寂しくなることがあるんだろうなぁ。
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