くろいひと

あらくれのくろいひとのレビュー・感想・評価

あらくれ(1957年製作の映画)
3.7

どうしようもない男たちとそのなかで生き抜く女という、成瀬巳喜男お得意のテーマをえがく。
お島の強さは波乱万丈の境遇に耐える強さではなく、みずからあらくれる運命を選んで生きる強さだが、高峰秀子がうまくそれを演じている。

文芸作品の映画化にありがちな駆け足がなく、ていねいにえがかれている脚本がよい。
大正の時代風俗によって作品に統一感があるのも好感がもてる。

『金色夜叉』の映画をお島と浜屋が観るシーンはなかなか秀逸な挿入句。
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