あらくれの作品情報・感想・評価

「あらくれ」に投稿された感想・評価

貝崎

貝崎の感想・評価

3.5
高峰秀子が眉を生やしておそらくすっぴんで女っ気を消して貧乏臭さを出してる。そんなに彼女の作品知らないですが、意外な役柄を演じていました。

ちょっと昔の日本の作品を見ると、男と女の間にある差を当たり前かのように語るやつが絶対にいるよね。「男とは、女とは、こうあるべきだ、こういうものだ。」本当に虫唾が走るし心底こんな古き良き時代に生まれなくてよかったなと思う。この作品の男はそれがひどい。大正時代の話に別に何も驚くことではないんでしょうけど。
お島(高峰秀子)は完全に生まれる時代を間違えた人だけど、こんな時代でこんなパンクスやってるなんて、本当かっけえっす。マジで尊敬します。姉さん。裏切られても裏切られても、すぐ新しい男つくって全然めげてない。なんてタフな姉さんなんだ。。

とか言ってるワタシ、23歳。お島姉さん、21歳。はい。
MegmiTanak

MegmiTanakの感想・評価

3.5
だらしない男たちとは裏腹に、どこまでも強く芯のある一人の女性お島。時に乱暴で不躾なところもあるけれど、目の前にいる男を愛し、尽くし、支えようとする。そんな彼女を一人前に愛することができない男たちの弱さと懐の狭さは、どこまでも見っともない。女が立派であればあるほど、男が去っていく。昔も今も、出来る女の哀しき性なのか…

なにより、若き仲代達矢から発される異質な輝くオーラはなんなのか!
『放浪記』のそれと比べたら見劣りする主人公の造詣だが、こういう役をやらせたらデコちゃんの右に出る者はいないんじゃないかという強烈な印象が残る。
あと上原謙はこれがベストアクトなのでは?と思うクズぶりで感心した。

森雅之とのロマンスとなるとまるで青春映画のようになるのが面白い。
金色夜叉を見た後の別れのセンチな演出!
高峰秀子最高、加東大介に水をぶっ掛けるところ笑った
男優たちの影薄いのは意図的?

時代の風潮に負けず、言いたいことを黙らない女が主人公。間違ってないし、意見を持つのは素敵だけど、言い方…!

敵を作りやすいタイプだなと思った。
昔やな思いした女と再会した時に、最初は余裕持って接するのに、帰り際にお節介な捨て台詞で株を下げる。
あと森雅之が新居に来た時の舅に対する態度は自分の心に正直すぎた。

悪い子じゃないんだけど…という感じ。

でもでも、最後の愛人と対峙からのラストへの流れは、とてつもなくハッピーな気持ちになれて彼女の生き方が間違ってないと思えて凄く良かった。

成瀬って上原謙に恨みでもあるのだろうか?
大正初期の物語、働き者でしっかりとした女性なんだけど気が強すぎるところがあって、男と一緒になってもいろんなトラブルで転々と、、、みたいなお話

高峰秀子も加東大介も全然性格違うんだけど、なんか放浪記っぽいなと思った
男運が悪いって見方も出来るけどこの作品の場合どっちもどっち、時代的なものを考慮すると男が他に女を囲うことよりも、高峰秀子の女だてらに取っ組み合いまでする気の強さのほうがエキセントリックかなと
生傷が絶えないって嘆く加東大介がちょっとかわいそうに見えるくらい

なんだかんだ言っても働いてお金を得て暮らしを立てていかなきゃいけないわけで、その点ではその性格がたくましくも見えて、そんな強い女性の映画

ただ盛り上がりはあまりなく淡々とその半生を描いていくって感じで、映画としての面白さはそんなにって感じ
気性の激しい女を高峰秀子が好演。
男と一緒になっては別れる生活力たくましい女性の話。

この作品でまず驚いたのは、あの志村喬がエロおやじを演じていて、高峰秀子の胸を服の上から触って「このおっぱいは大きいわ~」というくだり。志村喬のエロぶりは笑い方からして堂々たるものであった。

笑えるのは、高峰秀子が加東大介に水をぶっかける場面。爆笑ものであった。

森雅之と一緒に映画「金色夜叉」を観るが、フィルムが切れてしまうあたりは昔らしい。
それから、高峰秀子が2回ほど口にする「ステーション」という言葉、三浦光子と温かいものを飲むのが「ミルクホール」、かき氷の宅配、など現代では見られぬ風景がおもしろい。
また、「根津あたりどうかしら?」⇒「根津なら手ごろだな」という会話、商売繁盛で蓄音機、立教大学の前でのビラ配り、高峰秀子の自転車の練習風景、この作品でも高峰秀子がソロバン使う場面なども楽しい。

この作品で高峰秀子の「あと3日で正月なんだよ。将棋さしている時か!」と加東大介に言うくだりを観て、個人的な話であるが、たまたま「あと3日で正月の日」に本作を観た偶然。

なかなか高峰秀子の激しい場面が観られる作品であった。
だめんずだよ❗全員集合!!
● '8/中旬〜『名匠 成瀬巳喜男の世界』名画座上映
(初公開: '57 5/22〜)
配給: 東宝
スタンダード
B/W
モノラル
8/17 11:30〜 並木座にて観賞
フィルム上映
パンフ発売無し
※コマ飛び有り。

同時上映:
「山の音」
正真正銘のハードボイルド作家を忘れるなかれ  成瀬巳喜男「あらくれ」

映画生誕100年の歴史のなかで『名作』の一本や二本残した監督なんて履いて捨てるほどいますが『名作』の一歩手前で踏みとどまり一定水準以上の作品を大量生産した監督はザラにはいません。
その数少ない一人が成瀬巳喜男であると思います。
クロサワ、オヅ、ミゾグチの影に隠れがちだった所に成瀬の偉大さがあるのです。
事実、彼が野心的な作品を発表すれば国際映画祭の最高賞の一つや二つ当たり前のように受賞していたに違いありません。
成瀬よりひと回り下のイングマルベルイマンなどが国際映画祭の名声によって醜い野心に身を歪め一作ごとに堕落していった例を引き合いに出すまでもなく慎みと節度を持って『名作』を回避することで『傑作』を量産しえたに違いないのです。
『名作』と呼ばれる作品の多くは老いていくのが早いものですが成瀬作品が2017年現在から観ても更新されていくのは製作時に成瀬が誰よりも備えていた慎みと節度故に他ならないのです。
私たちはそこに成瀬が女性映画を纏った真の意味でのハードボイルド派だと認め感動します。
事実『あらくれ』も『放浪記』も『鰯雲』もヒロインは紛れもなくハードボイルドの主人公である。
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