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シーズ・ソー・ラヴリーのkuuのレビュー・感想・評価

シーズ・ソー・ラヴリー(1997年製作の映画)
3.7
『シーズ・ソー・ラヴリー』
原題She's So Lovely.
製作年1997年。上映時間121分。

若く無軌道なカップルが、その過激さゆえにいったんは失った愛を、10年を経て再び取り戻すまでを描く濃密な米国・仏国ラヴ・ストーリー。

ある日、自分の留守中にモーリーンが隣人に暴行されたことを聞いたエディは、怒りで我を忘れ、銃を片手に暴れ回り逮捕。
施設に収容されちまう。
ほんで10年後、新しい家庭を築いている彼女の前に、退院したエディが姿を現すが。。。

『シーズ・ソー・ラヴリー』が1997年に映画化されるまでには紆余曲折があったそうです。
その話は10年前に遡る。
ジョン・カサヴェテスが自宅で開いていた脚本の朗読会に.彼を敬愛するショーン・ペンが参加するようになり、ジョンが書いたまま10年近く眠っていた脚本を、ペン主演で映画化することになった。
せや、この企画は頓挫しちまう。
肝臓を病んでいたジョンの体調が悪化したことが原因だが、ペンがマドンナを出演させたがったことも災いしたそうです。
それでも🥺映画化を諦められないペンは、ハル・アシュビーに企画を持ちかけ、了承を得る。
しかし、そのアシュビーも病に倒れ、帰らぬ人となっちまう。
ほんで89年にカサヴェテスもこの世を去ると、ペンは映画化権を買い取り、みずから監督に乗りだす決意を固めるが、モノクロで撮ることに固執したために資金が集まらなかった。
今ならクラウドファンディングがあるが、当時はあまり機能してない。
そんな経緯があったために時間こそかかったけど、最終的にはジョンの精神を継承する息子のニックが監督、ベンとロビン・ライトの主演ちゅうと理想的な顔ぶれで映画化が実現することになった。
ニックがジョンの脚本にほとんど手を加えることなく撮ったこの映画では、ヒロインのモーリーンを中心に対極の愛と日常が描きだされる。

モーリーンの前に退院したエディが現われ、彼女は人生の岐路に立たされ、その結末にはジョンの理念を見ることができる。
50年代から組織化された企業や広がる郊外をとおして画一化されていく米国人を見つめてきた彼は、どこまでも自分であろうとすること、個人の自由にこだわってきた。
だからモーリーンは、過去や未来ちゅう時間と結びついた価値観や物質的な豊かさに縛られることなく、目の前の“瞬間”を生きようとするのだ。
そないな展開やしドラマは深くなると思います。
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