Yoko

アメリカン・サイコのYokoのレビュー・感想・評価

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)
3.7
80年代末のNYウォール街。
投資銀行P&P社の副社長”パトリック・ベイトマン”は。豪奢な暮らしを堪能しつつ、似たようなファッションに身を包む同僚とのランチを楽しむ日々を過ごす。
運動を欠かさず身体づくりもこなす彼の生活ははた目から見ると満たされた生活そのものであるが…。


途中までは陳腐なプロットのひどい駄作だと感じた。
一言でいえば午後のロードショーのハズレ枠。

しかしながら途中から提示されるあまりにも映画的(非現実的)な演出によって、今作に対する姿勢を正されることになる。
今作のパトリックという男に対してはタイトル通りのサイコ野郎というレッテルを貼ることも出来るし、その見方に関しても十分納得できる作りだろう。
しかし、そのサイコ男よりも彼の姿を見て連想したのは、コーエン兄弟の『ノーカントリー』でハビエル・バルデム演じた”アントン・シガー”という「厄災」であった。
今作のタイトル『アメリカン・サイコ』は「サイコのアメリカ人」よりも「サイコのアメリカ(国)」の解釈を以てして腑に落ちることになった。

意外に深いところまで語り尽そうとする姿勢は見て取れるし、そうした解釈を許す今作の素晴らしさを認めつつも、冒頭述べたようにもう少し表面上のストーリーを楽しみたかったため、佳作止まりで評価を留めなくてはいけないのが残念。
キャストが皆似たような容姿、とりわけ女性はそれぞれ別人なのだけどなぜか同一人物に見えてしまう現象が一番怖かったかも。
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