アキラナウェイ

アメリカン・サイコのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)
3.5
なんだこれ?ワロタ。
サイコなんてタイトルで掲げるぐらいですもん。
サイコパスがバッサバッサと人を殺りまくる映画だと思って敬遠しちゃっていたけど、要所要所ギャグだなこりゃ。ビビって損した。

1980年代後半、NYのウォール街の証券会社に勤めるパトリック・ベイトマン(クリスチャン・ベイル)は、誰にも明かせない秘密を抱えていた。昼間はエリートビジネスマン。しかし夜になると娼婦やホームレスを殺し、悦に浸る。やがて彼自身が内なる殺人衝動を抑えられなくなる。

高収入、高学歴。
パトリックも同僚達もまぁ頭が空っぽで。

ブランドのスーツに身を包み、腹は減っていなくても有名レストランで食事をし、互いの名刺の出来不出来を競う。なんてしょうもない人達だろう。名刺が透し模様だとかフォントがどうだとか。名刺に書かれている名前なんぞ見ちゃいない。

前半は勘違いエリート達の空虚な暮らしぶりに辟易する。

その中で一際パトリックの美意識がイカれている。
顔がむくんだ朝はアイス・パックを顔に当て、腹筋1,000回するとか(聞いていない)、クレンジング・ジェルがどうとかパックがどうとか(聞いていない)。

誰も聞いていないパトリックの自分語り。

彼の話は聞いちゃいないが、ブラックユーモアと皮肉のエッジは効いている。

昼間の完璧な美意識の倒錯と夜の快楽殺人の衝動との対比が素晴らしい。

ジャレッド・レト演じるポール・アレンの脳天を斧でかち割るとか最高だけど、いくらなんでも殺しの描写が物足りない。グロが苦手な僕が思うんだからよっぽどで、ラスト30分になってようやく殺人鬼としての本性が赤裸々に描かれて面白さは急上昇!

赤裸々っていうか真っ裸でチェーンソーとか、これはもう笑うしかない。

サスペンス・ホラーとしては物足りないが、ブラック・コメディとして捉えればラストのオチも含めよく出来ている。解釈が分かれるタイプの見事なオチ。最後ちょろっとネタバレします。













何せ名前間違えられ過ぎだYO!
当時エリートと呼ばれた人種が、どれだけ外面だけしか見ておらず、他人に無関心かというのが本作のテーマ。

個人的には探偵役のウィレム・デフォーがもっと真相に迫る展開が良かったなぁ。

何せ薄っぺらい主人公と登場人物達の見栄の張り合いがしんどいし、興味が湧かない。

そんな人生に堕ちるぐらいなら高収入も高学歴も僕はいらない。