Arbuth

アメリカン・サイコのArbuthのレビュー・感想・評価

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)
3.5
ずっと観たいと思っていて遂に観れたシリーズ。

鑑賞直後は訳がわからんなースコアは2.5くらいかなという印象だったけど、色々解説を読んだりして+1.0になった。

解説で色々書かれている通り、これはサイコパスな殺人鬼を描いたホラー映画ではなく、舞台となった80年代のウォール街の上流階級の病理を描いた風刺映画だ。つまりあの街の全員がアメリカン・サイコ。

消費社会にどっぷり浸かり、流行のレストランや高級スーツ、お洒落な名刺作りに執着する連中の滑稽さ。主人公のパトリックをはじめとして、周りの連中は皆表面的な世界に生きてる人間。無個性で、虚栄心の塊。他人、特に低所得者や女性を見下し、自分勝手なナルシスト。

パトリックはそんな連中のただのアイコンでしかない。完璧なルックスと肉体を誇り、それを維持する為に日焼けサロンやエステは欠かさないけど中身は空っぽ。印象が薄く、周りにはよく他の人と間違われる。
サイコな連中に囲まれてるから、いかにサイコな殺人鬼となっても目立てない。断罪すらされない。なんかちょっと哀れな男の話ですね。

中盤から荒唐無稽なシーンが増えてきて、現実とパトリックの妄想が入り混じってくる感じも予備知識無しだと良くわからなかったけど、解説を踏まえた上でもう一度観ると面白くなる。
どこまでが現実でどこからが妄想か分からないのが映画の面白いところですね。

個人的には不動産屋のおばちゃんが一番怖かったかもしれない。

あと、ジーン役のクロエ・セヴィニーが可愛かったです。
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