福福吉吉

バットマン フォーエヴァーの福福吉吉のレビュー・感想・評価

4.0
ゴッサム・シティでは怪人トゥーフェイスが暴動を起こし、バットマンを目の敵にしていた。一方、ブルース・ウェインが経営するウェイン産業では研究員エドワード・ニグマはマインドコントールに繋がる開発品をブルースが拒否したことで失望し、ブルースに敵意を向けるようになる。エドワードはトゥーフェイスにバットマン退治に協力する代わりに強盗による資金集めするよう話を持ちかける。

ストーリーは怪人トゥーフェイスたちが暴れ回る派手なパートとブルースの過去の話やディックの復讐への執念などシリアスなパートが適度に絡み合って緩急のついた緊迫感のある展開になっていました。また、怪人たちが非常にコミカルなので明るい感じになっており、主人公サイドのシリアスで暗めのストーリーと対照的になっていて良かった。

本作のブルース・ウェイン(ヴァル・キルマー)は経営者としての姿、悲しい過去に苦しむ姿、復讐に燃えるディックを止めようとする姿、バットマンに好意を持つチェイスに恋をする姿と、前作と比べかなり描写が増えており、ブルースの心理が伝わってくる描き方をしていて良かった。

そして、バットマンの相棒としてディック・グレイソン(クリス・オドネル)が登場し、「ロビン」になるまでの経緯を丁寧に描いていた。執事のアルフレッドの助けが無かったら、ロビンは誕生しなかったと思うとアルフレッドの有能さをしみじみ感じました。ブルースは復讐を否定するけど、ディックの立場になったら絶対復讐したい気持ちを否定できないと思うので、ディックの行き場のない怒りが上手く伝わってきました。

敵として怪人トゥーフェイス(トミー・リー・ジョーンズ)と怪人リドラー(ジム・キャリー)が登場し、本作も華のある悪役になっています。
特にリドラーの活躍を多く描いており、ジム・キャリーのコミカルな動きも相まって、本作の登場人物の中で一番目立っていたと思います。リドラーになる前のエドワード・ニグマのときから狂っていたので、生まれながらの怪人だった気がします。
一方、怪人トゥーフェイスは派手に暴れ回り、バットマンの殺害に執念を燃やす姿が描かれているのですが、トゥーフェイスになるまでの経緯をほぼ全て省いているので、ただの暴力担当になっていてキャラクターとして浅く感じました。

精神分析医のチェイス(ニコール・キッドマン)が本作のヒロインですが、バットマンを好きになり、私用でバットシグナルを使う狂ったところがあったのですが、ストーリーが進展すると普通の女性に変わっていって少し面白みに欠ける気がしました。

本作の見どころとして、バットマンとロビンの格闘アクションにキックが組み込まれて、前作までの殴るだけの単調なアクションからパワーアップしていました。特に身体能力の高いロビンのアクションはとてもカッコよかった。それに対し、敵もバットマンの基地を破壊したり、死のトラップでバットマンたちを危機に陥れたり等、多彩な演出を楽しむことができました。

娯楽作品として大幅パワーアップしていて観ていて楽しかった。それでいて、主役サイドの話もうまく組み込まれていたので適度にストーリーに深みがあり広くバットマンの世界を楽しむことができました。
評価が分かれると思いますが、私はとても面白かったです。

鑑賞日:2022年8月28日
鑑賞方法:BS日テレ
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