undo

顔のundoのレビュー・感想・評価

(2000年製作の映画)
3.9
さあ、新しい人生がはじまる。

北海道大学の期間限定映画館「CLARK THEATER 2016」で鑑賞。
学生とは思えないシブいチョイス。

阪本順治監督作品。
そして藤山直美の映画初主演作品。
この人、意外と映画に出てないんですね。

衝動的に実の妹を殺してしまった中年引きこもり女性の逃亡劇。

あらすじ的に深刻な内容を想像しがちだけど、そんなことはなく、どちらかというとコメディ寄りのドラマ作品。
時代設定が1995年なのでいちいち懐かしい。
カラオケで歌われる曲(シャ乱Q、H Jungle with t)とか。牧瀬里穂とか。

そして、藤山直美が本当に素晴らしい。逃亡劇で、タイトルが「顔」とくれば真っ先に整形が頭に浮かぶけど、そういう展開にはならなくて、それ以外の部分での彼女の顔の変化が大きな見どころ。

引きこもりゆえに逃亡当初はまったく社会性のない言動が目立つが、様々な体験をすることで荒療治ながらそれなりに社会に溶け込んでいく。
社会の厳しさにもまれ、彼女が悲鳴をあげるシーンがいくつかあるのだけど、まるで赤子の産声のよう。

逃亡の舞台は大阪から九州へ。
何げに豪華キャストが作品を盛り上げていく。
もともと可愛らしい顔立ちなので、後半の生き生きとした表情はなかなか魅力的。本当に良い女優さんです。

取り返しのつかないことをしてから始まる人生というのも皮肉だけど、真剣に生きる姿というのはブザマに見えてもやはり美しくて。
undo

undo