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カラーパープルのsukekoooのレビュー・感想・評価

カラーパープル(1985年製作の映画)
4.2
まず言えるのは、私は絶対にアルバートを許さない。

差別、暴力から黒人女性が虐げられていた事実を、目を背けたくなる程酷く描いている。自由に手が届くまで、数十年の年月が経つ間、主人のアルバートは不思議と幼児化していく。今日着る服、忘れ物がないか、ご飯はまだか…アルバートが文句をつける前に全てこなすセリーを前に、アルバートは何も言えなくなっていく。大袈裟なほどに、男性が滑稽に描かれているのだ。セリーが憧れの瞳で見るジャクとの間には、神秘と言わんばかりの性愛が描かれており、もはや男性が入る隙はない。
終盤、捨てられたアルバートは、自分の父親と同じくらいの老齢に見えるくらい廃ってしまう。黒人女性はモノのように扱うのだ、と言うのは父親からの信念だが、塵のようになってしまったアルバートからの言葉には気力が感じられないのである。
『アミスタッド』を鑑賞後、『カラーパープル』を見た私。どちらも人種差別の問題であるが、何故か『カラーパープル』は共感せざるを得ないのである。こう言われたら気分が悪いだろう、こう言い返したらスッキリするだろう、と煽られているような感覚でもある。

やはりそれを考慮して、自分がその思惑に乗せられているとしても、アルバートだけは、やっぱりどう考えても、許せない!
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