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カラーパープルのwhitelilyのレビュー・感想・評価

カラーパープル(1985年製作の映画)
3.8
1900年代初頭アメリカ南部。黒人社会における男尊女卑が当たり前に行われていた時代。ある黒人一家の姉妹セリーとネティが手を取り合い励ましあって生きる姿に胸が苦しくなる。劇中で何度も繰り返される暴力や蔑みの言葉が直接胸に刺さってきて辛い。なぜ、黒人の女に生まれたというだけでこんな目に合わなければいけないのだろう…。目の前で繰り返される不条理な出来事に何度も打ちのめされる。
自分らしく生きるためには強くあるべき、そんな女性ソフィアすらも人種差別の犠牲になり奴隷として扱われる姿に、この時代の女性として平穏に生きるにはセリーのように静かにただただ服従して生きていくのが一番なのかもしれないとさえ思わされてしまう。
誰かセリーを愛してあげて。殺伐とした状況のなかで彼女の笑顔はひたすら純粋。
こんなにも辛くて悲しいセリーの人生なのに、なんて清々しく美しい結末。セリーとネティの邂逅と夕日に映るふたりの影に涙が止まらなかった。

シリアスなスピルバーグ作品もたまにはいい。
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