上海十月

生きてはみたけれど 小津安二郎伝の上海十月のレビュー・感想・評価

3.0
この83年製作と言うのはギリギリだったかもしれない。存命の方も多くて取材がしやすい最後の年だったかもしれない。小津安二郎の兄から弟妹も出てきて小津監督は、場合によっては80年代でも生きていたかもしれないと思うと生きていて欲しかったような60歳で人生が終わった方が嫌な日本を見なくてよかったのか、その辺がわからない。その中で印象的なのはやはり今村昌平だろう今村昌平の日経新聞「私の履歴書」の中で「東京物語」のときの東山千栄子が脳卒中で死んだシーンをまさにこの時今村昌平の母親が死んだ時も脳卒中だったことを引き合いに出して小津監督が「あんなもんだろう」と話したときに何と冷徹だったとを思い出すと言うコメントがあったことを覚えている。それとは違う「麦秋」でのお茶漬けのシーンを語ってる。他の時の話を今村監督から聴いて欲しかった。「吉田善重が語る小津安二郎の映画世界」というのがNHKのETV特集でやったのを見直してみたが吉田監督の分析もまた面白い角度から来ている。「生きてはみたけれど」はどちらかと言うと王道の映画ドキュメンタリーであり貴重な関係者の意見が聞けて大変参考になりました。本作と話はずれますが、このETV特集がジェネオンから出てるんですけれどもアマゾンで中古1万2千円の値段がついてるのには非常に驚きました。廃盤だからでしょうが。NHKは、受信料取ってるんだから配信しなさい。
上海十月

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