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暴力部落の対決のFilmomoのレビュー・感想・評価

暴力部落の対決(1957年製作の映画)
4.1
①西部劇のスタンダード・スタイルである、悪党軍団とヒーローの対決を丁寧に積み上げて描いた、知られざる痛快ウエスタンが『暴力部落の対決』(原題:SHOOT OUT AT MEDICINE BEND)である。ランドルフ・スコットは同じ57年に傑作『反撃の銃弾』に出演している。本作も『反撃の銃弾』に負けず劣らずの痛快作だ。若き日のアンジー・ディキンソンやジェームズ・ガーナーも、その後を髣髴とさせるそれぞれの持ち味を生かした演技で好感が持てる。②兄の元で定住しようと、退役軍人のスコット、ガーナーそして酒好きのゴードン・ジョーンズたち3人は町にやってくるが、インディアンの襲撃を受けている最中で、撃退するも、兄は矢が当たり死んでしまう。ライフルがあったが、粗悪品で、これが原因で応戦できなかった。兄に死をもたらした粗悪品を売りつけた悪徳商人がいる町へ3人は乗りこむ。途中で強盗に遭い、入植者たちから託された金品もすべて奪われる。途方に暮れるところでクエーカー教徒たちに助けられ、教徒の服を譲ってもらう。3人は教徒のふりをして町を内偵する。するとパイオニア商会という雑貨屋に始まり、パイオニア酒場、パイオニアホテルなどを経営するクラークという男が強欲な悪徳商人で、保安官も市長も彼に牛耳られていることが分かる。強盗にあった服や金もクラークたちの仕業と分かり、スコットはクラークに復讐するため画策し、奪われたものを取り返そうとする。しかし、3人を怪しいと睨んだクラークの罠にはまる。③90分足らずの時間の中に、しっかりとした人物描写があり、サスペンスがあり、逆転劇があり、ロマンスがある。小道具が効いていて、結末もすがすがしい。スコットが闇にまぎれて奪われた金品を取り戻しつつ、悪党たちを少しずつやりこめていくプロセスが面白い。最後の最後、悪党のボスとの対決へ盛り上げていくエピソードの積み上げが、小→中→大→特大へと変化していく時間の流れがたまらなく良いのだ。映画の時間は小便を我慢することができる時間内で終わるのが良いと言ったのはヒッチコックだが、スコットの一連の90分あるいは、80分以内のタイトな西部劇を見ていると、映画はもっと短くても十分楽しめるような気がしてくる。描かなければならないことを正確にもれなく描いて、90分たらずできちっと終わるというのは、それだけで心地よい。
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