千利休

DISTANCE/ディスタンスの千利休のレビュー・感想・評価

DISTANCE/ディスタンス(2001年製作の映画)
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前作で確立したドキュメンタリー的手法を発展させた本作は、是枝監督お得意のテーマである"血縁家族"の脆弱さと新たな家族の可能性を提示した原点的作品と言える。このテーマは近年色々な作品で見受けられるが、彼の作品が特別なのは"オルタナティブ家族"の弱さまでをしっかりと描いていることに拠ると思う。そのような作品群を咀嚼していくにあたり、本作には箴言が詰まっている(題名であるDISTANCEもその象徴であろう)。強いて残念な点を述べるならば、本作はカルト宗教のドキュメンタリーの如き作品であるのにも関わらず、信者たちがいかにして入信にまで至ったのかに重きが置かれていない点であろう。遺された家族たちの現在の尊さと脆さを描くにあたって、もう少しショッキングな出来事があったら説得力が増していたかもしれない。ところで本筋からはズレてしまうが、ゼロ年代Jホラー特有の真夏の侘しく暗い森を舞台にした作品が観たかった自分にとって、今回のロケ地はなかなか唆られるものだった。
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