《スポーツの映画》、Vol.13。ボクシング②。
“破壊の帝王”、アポロクリード。
“イタリアの種馬”、ロッキーバルボア。
再戦。
これほどアツいリベンジはない。
前戦での目のダメージが大きくボクシングを引退してエイドリアンと幸せに暮らそうとするロッキーだったが、そうは問屋が卸さない。
自分にはボクシングしかない。
妻との生活と、生まれてくる新しい命も、そして、自分の存在の証明もすべてはそれしかない。
妻の反対で揺らぐ信念ではあったが、それもまた妻の一言で闘志の炎が再び揺らめく。
パートナーのミッキーとの関係性も厳しさの中に厳しさしかなく、ちょっとだけ愛がある。
こののらりくらりで間延びするロッキーと、セカセカカリカリしてるミッキー。
最高の相棒だと思う。
峠を越えたボクサーと、老ぼれマネージャー。
対する絶対的なチャンピオン。
チャンピオン側も前回の勝利は不本意だと、再戦に鼻息が荒く、前回のような油断もない。
再び、戦いのゴングがなる。
何が良いって、ロッキーは常に自分以外の人のために自分と戦うところ。
自分の唯一の土俵と武器で、それを証明しようとするところ。
自分の勝利は、自分の証明であることと同時に、周りの人の背中を押す。
だから、無名のチャレンジャーのあくなき挑戦にみんながエールを送る。
普段は「いいよ、いいよ、俺なんか」みたいなハングリーさから程遠く、アポロ側の挑発にも「なんか、あいつ、怒ってんね」みたいな変に冷静。
これが、一度火がつくと、人が変わったかのような剥き出しの根性。
前作から地続きで、リングでエイドリアンと抱き合ったところから始まるので冒頭から熱の入り方がとてつもない。
そして、子供達と一緒にランニングするシーンとこの最後の同時ダウンのシーンはスポーツ映画史上に残る名場面。