ryosuke

チェス狂のryosukeのレビュー・感想・評価

チェス狂(1925年製作の映画)
3.7
ソヴィエトサイレント映画の巨匠プドフキンはスラップスティックコメディも撮ってたんだな。スタンダードサイズの画面右端が更にトリミングされていたけどそういう規格もあったのかな。完全サイレント上映@シネマヴェーラ。
至る所からネコちゃんが出てくるシーンの愛らしさ。
逆再生早回しなど映像的な遊び心があって面白い。
黒一色の抽象的な背景をバックにヒロインに対してチェスのイメージが次々に襲いかかってくる感じなど超現実的、表現主義的で印象に残る。当たり前だけどこの時期の映画はリアリズムについての規範が全く違うな。

2023/8/31 @シネマヴェーラ渋谷
3.7→3.7

 久々に再見。いやあ異常なスピード感の映画だよな。カット割りのキビキビ感もさることながら、コメディの状況設定から解消までが早すぎる。通行人の背中にビラを貼って読もうとするが、男が車に乗り込んでしまい、続いて乗車する主人公は、目にも止まらぬ速さで雪の中に頭を突っ込んでいる。
 物語もやはり奇妙だな。普通ならチェス狂いの変人夫に振り回される妻という筋書きで良いところが、妻は自分以外の全ての人間がチェス狂いの世界に幽閉され、いつからそのような世界になったのかも全く分からず、ミイラ取りはミイラになってしまう。
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