LalaーMukuーMerry

居酒屋のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

居酒屋(1956年製作の映画)
3.7
普仏戦争(1871)で隣国プロイセンに敗れてナポレオン三世が失脚した後、パリにエッフェル塔がまだない頃に、自然主義文学の文豪エミール・ゾラが書いた代表的小説を、ルネ・クレマン監督が映画化した作品。洗濯屋で働く女性ジェルヴェーズの人生を描いたお話。
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自然主義文学というのは現実の悪い方に焦点をあてるから、主人公は懸命に働いて自分の店を持って人生を切り開き始めるのだけれど、悪い男とか、偶然の事故のせいで伴侶の男が怠け者になるとか、またしても悪い男とか(このシチュエーションは、普通ないでしょ!という三人の関係に呆れる)、足を引っ張られて次第に落ちていってしまうのです。頼りになりそうな優しい男も登場するけれど、いまひとつ助けにならないし、とうとう心が折れてしまって暗いラストで終わるのよね。
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近所の主婦たちがやって来てお金を払ってお湯を買い、おしゃべりしながらごしごし洗濯する所(=当時の洗濯屋)の様子とか、フランス料理と聞いて思い浮かべる雰囲気とは全然違う、当時の庶民の誕生日祝いの食事の様子とか、興味深かったです。