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街のあかりの8bitのレビュー・感想・評価

街のあかり(2006年製作の映画)
3.8
夜勤明けで疲れた夜にはカウリスマキ。

独特の距離感で人間の悲哀や優しさを描く語り口にはとても癒される。
しかし考えてみるとこの映画。かなり主人公が可哀想な胸糞なお話なんだよなあ。

道を外れることなくストレートに生きてきた男が、その純粋さ実直さを利用され、落ちるところまでとことん落とされる。
そんな状況にあっても、彼は取り乱すこともなく感情を表に出すこともなく、ただひたすらに時が過ぎることだけをじっと待ち続ける。
煙草を吸い、酒を飲み。未来を見つめながら。
彼が感情をあらわにするシーンがふたつあって、それがどちらも〝怒り〟であったのは、なんだかとても哀しくなった。
いったい彼が何をしたというのだろう。まっすぐに生きてきただけなのに。ひとりの女性を好きになっただけなのに。

実直に生きる人間が報われる世の中であって欲しいなあ。
虐げられた人間に手が差し伸べられる世の中であって欲しいなあ。

フィンランドのお家は壁の色使いや、家具がなんともお洒落ですね。
刑務所も囚人服もお洒落に見えるのはすごいなあ。
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