つかれぐま

ナイト・オン・ザ・プラネットのつかれぐまのレビュー・感想・評価

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人情噺🚖🚖🚖🚖🚖五題

落語の人情噺の後味。出世作の『ストレンジャー・・』を骨とすれば、血と肉がついて分かりやすくなったジャームッシュの作家性。

市井の人々の他愛ない日常を、優しくシニカルに描く。そういう作家性への決意宣言が巻頭の<ロサンゼルス編>だ。ウィノナ・ライダー🚖をジャームッシュ自身に見立てると、『ストレンジャー・・』で批評的成功を収めた彼にも、メジャー系配給会社からあんなお誘いが掛かったんじゃないかとも読み取れる。そこへの回答がこの第一話かな。ウィノナ・ライダーの可愛さも大きいけど、この話の完成度が一番高いのは当然か。

ニューヨーク、パリに共通するのは、差別される人々(黒人、移民、盲人)への優しい眼差しと、偶然のコミュニケーションが生む得難い経験。

ローマは箸休め?かな。
こういう「すれ違い」をテーマにしてきた、初期作品群への愛情。

ヘルシンキは、同じ🚖に乗りながら運転手の話を聞いたかどうかで、世界が違って見えてくるという話かな。そういう体験を提供するのが映画なのだ、という締めくくり。