回想シーンでご飯3杯いける

ナイト・オン・ザ・プラネットの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

4.5
今回Netflixで配信が始まったジム・ジャームッシュ初期監督作品の中で、やはり本命はこれ。久々に鑑賞したけど、やはりとても楽しい映画だ。

クリープハイプの尾崎世界観が自身のオールタイムベストに挙げている映画でもあり、ここから着想を得て生まれたのが名曲「ナイトオンザプラネット」。更に同曲に触発された松居大悟が自身初の完全オリジナル脚本で映画化したのが「ちょっと思い出しただけ」という、新たな付加価値も加わった。「ちょっと~」で伊藤沙莉がタクシードライバーを演じているのも、当然本作のオマージュである。

ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキの同じ夜を舞台に、タクシー運転手と乗客の間で起こったドラマをユーモア溢れる密室劇として描いている。

ウィノナ・ライダー、ベアトリス・ダル、ロベルト・ベニーニ、イザック・ド・バンコレ等、映画好きであれば一目置いているであろう個性派俳優が名を連ねる。で、本作も例に漏れずなのだが、ジャームッシュの映画に登場するのは自由に生きている人ばかり。それが良い。

笑いのテイストも、声を出して笑ってしまう軽快なものから、下ネタ、皮肉まで、ストーリー毎にタイプが違い飽きさせない。こんな色んなドラマが地球上の同じ夜に起こっていたなんて、なんとロマンティックな発想なのだろう。