踊る猫

ナイト・オン・ザ・プラネットの踊る猫のレビュー・感想・評価

3.8
五つの街を舞台にしたオムニバス形式の短篇集。基本的にタクシーの車内という閉じられた空間で物語が成り立つので密室劇というか、一歩間違えれば息苦しくて仕方がなくなるところをジム・ジャームッシュの書いた脚本から生み出される軽妙洒脱な会話(もちろん現場ではアドリブも加わったのだろうけれど)と、あとは登場する人物たちの独特のオーラがそうした閉塞感を打破することに成功している。個人的には若き日のウィノナ・ライダーが登場するというだけで(ああ、あの『リアリティ・バイツ』!)満足してしまった。ベアトリス・ダルが盲目の女性を演じるパリ編がクオリティとしては一番高いような印象を受けたのだけれど、どうだろうか。案外ジャームッシュの世界にはこうした短篇集から入るのがいいのかもしれない。
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