siorinn汐鈴

ナイト・オン・ザ・プラネットのsiorinn汐鈴のレビュー・感想・評価

3.8
ちょっと精神的に疲れていて、夜に何見よう、刺激はないけれど、やさしく心に訴えかけてくれる、「夜の、真夜中の映画」

ジャームッシュ監督、二日後の1月22日がお誕生日、若いな、還暦をとおに過ぎているとは思えない若々しくておしゃれなセンス。

そんなジャームッシュ監督珠玉のオムニバス。
タイトルも素敵、プラネットって、ひとつひとつの話は架空だけれど、今、どこかの「星」で起きている出来事かも、っていうジャームッシュ監督のセンスを感じます。

1.ロス。
わああ、ウィノナ・ライダー、こんな蓮っ葉な役なのに可愛い、キラキラ感は当時の売れっ子ならでは出せるもの、そんな彼女にこんなにタバコ吸わせて、品のない言葉使わせて、それでもって輝かせる、それに相対する、ジーナ・ローランズの大女優ならではの存在感と最後の表情。いいねぇ・・・

2.ニューヨーク
まさに「袖振り合うも他生の縁」
一見ヤナ人?のヨーヨーと移民の運転手ヘルムート。
育ちも生まれも人種も違う二人の噛み合ってないようで、実は心が通っていく世界が少し物悲しくも、心が温かくなる。

3.パリ
堅物のアフリカ系のタクシードライバー、まったく今どきの客はよう・・・と拾ったのが、盲目の女性、このベアトリス・ダルの色気と独特さよ。
見えるものには見えず、見えないものには見えるものってあるのよ。
最後の彼女の表情がいいね。

4.ローマ
ううう、これだけは一番苦手だった。
ライフ・イズ・ビューティフルが苦手な自分は、もちろんベニーニも苦手であって・・・
好きな人はごめんなさい、神父さんお気の毒すぎる。

5.ヘルシンキ
マッテイ・ペロンパーとアキ・カウリスマキ監督を愛する自分が一番見たかった作品。しかもヘルシンキ舞台ですってよ奥さん。
マッテイ演ずる運転手の名前がミカ!!(アキ・カウリスマキ監督の実兄、ミカ・カウリスマキの名前)で、乗せちゃう酔客の名前がアキ(アキ・カウリスマキ監督は大酒飲みで有名で、かの筑紫哲也さんとの対談でベロベロでテレビ収録に臨んだ猛者)
聞けばジャームッシュ監督、アキ・カウリスマキ監督と仲良しなのね。
それでいて、ヘルシンキを舞台にこの話・・。
泣くやん。
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