ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキの五つの都市を舞台に、タクシーでの一夜の出来事を描いた短編群像劇。
ちなみにジャームッシュの作品はこれが初鑑賞。
ウェノナライダーが強烈に魅力的なキャラを演じてる序盤の話が一番好きだった。タクシーの運転手がタバコ吸いながら運転してたり、タクシーの文化が国によってこうも違うのかってびっくりの連続。
日本ではタクシー運転手と会話する習慣がないからかあまり考えたことはなかったが、目的地へ行きたい乗客と車を走らせる運転手という限られた関係性と時間、よく考えたら奇妙である。その共有する時間の中でだけ普段交わることのない二つの人生が互いの顔を覗きあう。科学室にこもって化学反応を観察しているようなワクワク感がある。
特に何か胸を打つようなドラマが生まれるわけでもなく、淡々と他愛のない身の上話や恋愛観などの会話が続くのだがこれがまたリアルでいい。
ドラマは作品の中で生まれるものではない、自分の中で生まれるものである。
エンドロールで流れるトムウェイツの名曲のなかでふとそんなことを思い出させてくれる、小腹がすいた深夜に見るぐらいが丁度いい味わい深い一作。
