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水曜日のエミリアのodyssのレビュー・感想・評価

水曜日のエミリア(2009年製作の映画)
3.5
【米国にだって教育ママはいる】

ナタリー・ポートマンをヒロインに、アメリカの家族模様を描いています。

ヒロインは仕事で知り合った弁護士と結婚。しかし彼は既婚だったので、言うならば略奪婚。彼は医師である妻と別れ、一人だけいる男の子の親権も持ちます。こういう場合、普通なら母が親権を持ちそうなものですが(この場合、特に夫側に恋人が出来たから、という理由ですし)、この妻は仕事に忙しく、あまり家庭的な女性ではないという設定になっています。

そこで継母となったナタリーが、男の子との関係を築くのに苦労する様、そしてみずからも妊娠・出産をするのですが、生まれてきた赤ん坊はほどなく突然死してしまい、その心労もかかえこむというお話です。

一見するととりとめもない映画のように見えますが、それなりに面白い作品になっています。最初、ヒロインは苦労の種があるにしても神経質すぎるようにも思えていたけれど、それにはそれだけの理由があると分かってくる。またヒロインの実父と実母も離婚しているのですが、意外にも実父がナタリーの継子と仲良くなってしまう。子供からすれば血はつながっていなくてもお祖父さんに思えるわけです。

というように、人間関係が色々に交錯しながら進んでいく物語で、アメリカの家族を描いた映画としてそれなりによく出来ていると感じました。

また、ヒロインが追い出す形になった医師の前妻もすごい。息子が名門中学に受かるようにはっぱをかけており、いくつも併願したなかで一つしか受からないとヒステリーを起こします。まあ教育ママって奴ですけど、日本でも首都圏では私立中学受験が珍しくないものの、アメリカも実は同じであり、また教育ママの存在も変わらないんだなあ、とニヤリとしてしまいました。

逆に言うと、ヒロインの夫になる弁護士は、若い美人に目移りして再婚したとはいえ、前妻にも現妻にも子供にも気を遣い、結構大変だよな、とちょっと同情。でもナタリーを妻にしてるんだから、まあ仕方ないか(笑)。
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