「面倒を起こすなら、黒人など強制送還だ」
「そうだな。ならば老婦人を消せば、襲うチンピラもいなくなるだろう。」
そんな人種差別がまだまだ根強く残った、1959年イギリス産ミステリィ。
作品としても手堅く王道に練られているし、そこに人種差別を織り込み、黒人白人どちらの心情も上手く描かれた良作でした!
ロンドン、ハムステッド・ヒース公園で、胸を6箇所も刺された女性の遺体が発見される。
捜査の結果、彼女は王立音楽院の学生サファイアと判明。
そして、見た目は白人だが混血ということも分かった。
警察は、彼女の婚約者デビッド等に話を聞くことに。
そして、白人、黒人、混血それぞれへの嫌悪感が浮き彫りになり……
肌の色の何がそんなに嫌なのか。
殺さなければならないほどなのか。
ましてや見た目は白人なのに、それでも混血と分かった瞬間、病原菌のような扱いになるのは、何故??
あからさまに、本人を目の前にしても差別発言を連発する。
それも過激派とかではなく、普通の主婦や会社員が。
子供達は全く気にせず、一緒に遊び回っているというのに。。。
そんな差別が生んだ殺人事件を、刑事が紐解いていくミステリィ。
きっちり真面目に頭と足で仕事する刑事が良かったです!
差別も片方だけでなく、両方から描いているのが良い。
もちろん差別は良くないと発言出来る人間もいるのだけれど、まだまだ根深い嫌悪が…
そんな世の中で、混血だけれど見た目は白人のサファイアは、どう生きて来たのか。
ミステリィとしても差別問題としても、とても上手い展開でした!
濃厚ながら91分という尺も良い。
オススメです。