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マクベスのwigglingのレビュー・感想・評価

マクベス(1971年製作の映画)
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カナザワ映画祭2016、不安な時代呪われた映画特集の1本。
もちろんシェークスピアの「マクベス」の映画化、といってもたくさんあって、これはロマン・ポランスキー監督版。

有名な話ですけど、本作のクランクインの少し前に起きたのがシャロン・テート殺人事件。チャールズ・マンソンの信奉者が妊娠8ヶ月のポランスキーの妻シャロン・テートを夫妻の自宅で惨殺した、世界初のカルト殺人と言われる事件です。現場の壁には彼女の血で”PIG”と書かれていた。

本作がとことん暗くて血まみれなのは事件の影響と言われていますね。ちょっとどうかってくらいの流血量です。
ポランスキーは圧倒的な血と暴力を描くことで血と暴力を克服しようとしたのではないか。呪われた映画とはよく言ったもので、実際に起きた血なまぐさい事件が映画の中に侵食してきている。

最終的には反マクベス陣営に首をはねられてしまうわけだが、そのあとに強烈なシーンが待っています。首を失った胴体からは大量の血が吹き出し、首は槍に貫かれ高く掲げられる。そのシーンで、カメラはマクベスの首の視点になるんですね。首に向かって嘲笑する兵士たちを見返している。なんたるえげつなさ。

公開から45年を経た今年、ようやく復刻シネマライブラリーでDVD化されました。傑作なので是非と言いたいところだけど、果たしてお薦めするのが良いことなのか…
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