140字プロレス鶴見辰吾ジラ

HOUSE ハウスの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

HOUSE ハウス(1977年製作の映画)
4.0
【愛、呪い、煉獄】

大林宣彦監督のデビュー作。映画として生理的にも持っているはずの概念が通用しない一種の連続写真。女子高生の青春という瑞々しさ、恐怖の家の禍々しさ。物理的なアクションも異形が這い寄るモーメントも、特撮というにはアンチクオリティ、騙し絵にしても頭にこびりつく。勢いよいまかせになりすぎず、どのかで抑制されながらも女子高生のキャラ造形、特にクンフーのキャラクター性は、我々が先に心のリミットを無視してしまう。アニメ的であるも異形の偉業と言うべきか?しかし「愛」について語るところが、削ぎ落とされて作品の体温であり、大林宣彦の意思を思わせるのが何とも憎い。「愛」は「呪い」でもあり、本作の家という箱性を「煉獄」として、ここに招かれてしまった女子高生が生贄となる様はアリ・アスターの「ミッドサマー」が描く不条理でもあるし、禍々しさをアンチクオリティで描いたホラーシーン(特にピアノのシーン)は、白石光晃のモキュメンタリーへと引き継がれたりと、異形の偉業として映像の影響力を、本作で提示した「愛」への考えとも呼応しているのが感慨深い。