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ヤコペッティのさらばアフリカのTSのレビュー・感想・評価

2.6
【1960年代の過酷なアフリカ】60点
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監督:グァルティエロ・ヤコペッティ
製作国:イタリア
ジャンル:ドキュメンタリー・ホラー
収録時間:122分
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一応分類としてはホラー。モンド映画の先駆的存在であるヤコペッティの旦那による衝撃ドキュメンタリー映画です。モンド映画とは、僕もあまり知らなかったのですが、要するに世界の衝撃的で残酷な映像を集めた映画のことを指し、ヤコペッティの初作品である『世界残酷大陸』の原語からとられているようです。
注意しなければならないのが、彼は平気でいわゆる「やらせ演出」をするということ。したがって、どのあたりがやらせなのか本物なのか認識が難しいのですが、終盤の処刑シーンなどは本物でありましょう。

今作は1960年代のアフリカを描いた作品であります。1960年は「アフリカの年」と言われる年であり、多くのアフリカの国々が独立を果たしました。しかし、その後も無政府状態や独裁状態が続いたりして中々情勢は安定しません。人種差別、密猟が絶えない中、ヤコペッティたちは懸命にそれらを映していきます。密猟や処刑などの、生き物を殺めるシーンはやらせの技術を超えているので恐らく本物。しかし、行く道々に死体が転がっているシーンは全てが本物ではないと感じれました。というかそれくらいの気持ちでみないと耐えれないと思います。人がまるで虫ケラのように殺され、死体は放置されている。『夜と霧』などのようなショッキングな映像に慣れてる方からするといけるかもしれませんが、耐性がない方が見るとかなり衝撃的であり、飯も食べれないかもしれません。

語り手が再三強調するのは、「アフリカにおいて人間が最も獰猛な生き物」ということです。狩猟は生きるために仕方ないとしても、密猟に関しては商業欲が滲み出ていますし、処刑に関しては極めて理不尽です。言えることは、人間以外の生き物は無用な殺生をしない。その点では、文明という「悪魔」を得た人間はいつまでも世界で最も獰猛な生き物と言わざるを得ません。モンド映画というのはどうやら、人間の愚かさを焦点にあてているようです。

衝撃的な内容なのですが、編集が滅茶苦茶でかなり見辛い。おまけに現代アフリカ史をある程度頭に入れておかないと、舞台がめまぐるしく変化するのでついていけないかもしれません。フィルマでは78分となっていますが、これ122分あります笑 収録時間詐欺ですね。。

ヤコペッティの作品は2作目ですが、やはり普通の監督ではないと感じました。とりあえずもう一作借りてるのでまた見てみたいと思います。
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