イチロヲ

ヤコペッティのさらばアフリカのイチロヲのレビュー・感想・評価

4.5
大自然と調和していた、かつてのアフリカが消失していくまでの過程を描いている、フェイク・ドキュメンタリー。白人文化により伝統様式が破壊され、動乱の時代に突入したアフリカを舞台にしている。

民主主義を理解できない住民たちが、唐突に政府や軍隊を持つようになり、観念がひっくり返されてしまう。ポルトガルを相手取ったアンゴラ紛争、ザンジバル島でのアラブ人虐殺行為など、報復の連鎖が次々と引き起こされる。

地球上で最も獰猛な動物「人間」の所行により、白眼青眼が定まらなくなっていく感覚が末恐ろしい。それぞれが自分の頭の中の「正義」に基づいて、殺し合いを繰り広げていく。もはや行動理念がどこにあるのか、分からなくなっている。

現地調達の資料的映像が盛り沢山になっており、人間の遺体や動物の死骸がそのまま映像に収められている。箸休め的な要素では、サファリパークを楽しんでいる観光客によって、ライオンのカップルが交尾を中断させられる場面にやるせなさと切なさがある。
イチロヲ

イチロヲ