たにたに

パリ、テキサスのたにたにのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.3
【愛が育まれていく物語】2022年103本目

ミラーを使った一枚の壁と、スピーカーの電子音を通した、近くにいるのに触れ合わない2人の関係性。
年齢差結婚から徐々に生まれた2人の距離感をうまく表現し、お互いの責任の再確認をこのシーンによって、悲しくもおしゃれに演出している。

この"徐々に"近づいていく感じがたまらない。
トラヴィスが記憶を徐々に取り戻し、
息子と再会して妻を探す旅に出る。
車で追って並走する訳でもなく、到着地のなんともいえない店内に潜入し、妻を見つけたけど相手は自分が見えていないという構図。自分の名前を告げずに、黙って彼女を観察して去り、再び訪れ決意を固める。


"赤"の使い方も良い。
記憶がないトラヴィスは赤いキャップを被っていて、赤いシャツも着ている。
妻はというと真っ赤な車🚗に乗っていて、店で働くときに真っ赤なワンピースを身につけている。「暑いから脱ぐわ」という言葉に、「そのままで良い」と告げるトラヴィス。
そして、最終的にハンターも真っ赤なシャツを着ている。
ここも離れていた家族が徐々に近づいていく表現をしてるんですよね。

"赤"の使い方が天才的すぎる。
印象と物語の構成をリンクさせて、心に残る素敵な映画に仕上がっている。
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