停滞

パリ、テキサスの停滞のレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.1
ロードムービーであり近代の映画。
前半のトラヴィスはロードムービーらしく脚本に縛られない自由な動きでリアリズムを生みつつ、荒涼とした砂漠の光景、引きのショット、無口や記憶のあやふやさ荒唐無稽さそして我が子に拒まれるあたりには、虚しさや悲しさではなく、意味の付加を拒絶するのっぺりとした無が表現され、トラヴィスは画面に現れる実存となる。いわゆる純粋に光学的な状況だ。
そこから徐々に変化していく。それは弟夫妻の関係であり、弟の妻の言葉をきっかけにしたトラヴィスと我が子の関係であり、妻との関係である。身なりを整え服を選び、ハンターを迎えにいく。二人は寄り添い歩くのでなく、道路を挟んでお互い絶妙に目線を配す、カメラがそれをダイナミックに180度切り替えで捉え、関係イメージが焼き付けられる、割とお気に入り。
重なるような二人、長回しの会話、ラストのぐるぐるする親子の姿は服の色も含め、うまく言葉にできない良さがあった。
停滞

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