色彩とストーリーが作用し合い、
コンマ1秒も捨てショットがない最高級の映像芸術。
開始直後。ロングショットで捉える、乾燥した砂の世界。
そして色味が欠けた世界に徐々に追加されてゆく原色。
赤。青。緑。
特にこの3色は象徴的に用いられ、
後に重要なことを意味していることに気づかされる。
色彩までストーリーの一部であることを、嫌味なく自然と、しかしながら強く意識させられる作品。こんな作品には中々出逢えない。
そしてそれらを含めた画面構成。
どのショットを切り取っても、まさに絵画。
計算尽くされた、生きる芸術。
『LUCKY』のハリー・ディーン・スタントンと
本作(84年)のハリー・ディーン・スタントン。
その瞬間、生きたその瞬間を切り取る映画製作は、何て素晴らしい行いなのだろう。