柏エシディシ

パリ、テキサスの柏エシディシのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.0
はぁ〜、好き。
なにげに初スクリーン鑑賞。この歳になってまた観れて良かった。もっと好きになった。

ライ・クーダーの流麗なスライドギター。
究極のシネマテーク見返り美人、ナターシャキンスキーの麗しき背中。
荒涼として途方もなく広大なのに、全てを優しく包み込んでいってしまいそうなテキサスの風景。
忘れる事はない。マスターピース。

何かが壊れてしまった男が再生していく物語。
、、なんだけれども、殊更にドラマティックに早急に物語は進んでいくことはない。あくまで自然に、辛抱強く。
ハリーディーンスタントン(1927-2017 R.I.P)の名演。と言って良いのだろうか。とても演技とは思えない。トラヴィスという男をまさに生きている。
そして、トラヴィスは何か大切なものを台無しにしてしまった悔恨を抱えてる全ての男たちの代弁者。僕たちはまた歩き出せるだろうか。

ハンター少年も本当に自然な佇まい。寡聞にして、その後のキャリアを詳しく存じあげない。彼も演じると言うよりは、自身を映画の中で生きたのだろう。

改めて見ると、ウォルトとアンの弟夫婦がちょっと不憫というか。もう少し丁寧に描いてあげたくなる。ウォルト役のディーンストックウェルも味わい深い。最近みないけれど、お元気かしら。

最近こういう時間や空間をたっぷりゆったり使う映画って少なくなってきた様な気がする。こういう作品をもっと大切に観ていきたい。
柏エシディシ

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