映像芸術としての映画の代表
あらすじは長くなるので割愛。
というより、あらすじを書くことさえ無粋にも感じさせられる傑作でした。
最初に見たときは、ちょっと難解だが得体の知れない深みがあるなという印象を受けました。
その深みの正体を探るべく、解説サイトの内容も参照してみました。
そこで知ったのは、監督のヴィム・ヴェンダースは映像への強いこだわりを持っているということでした。
この作品は、一般的な映画では脚本に合わせて撮影を進める手法であるのに対して、映像から物語を紡ぎだす手法を取っているそうです。
ヴィム・ヴェンダースのポリシーなんだとなっている手法なんだとか。
これを踏まえて改めて観賞すると、映像が表現する機微の繊細さや美しさに驚かされます。
荒野をとぼとぼと歩く主人公、昔の姿を撮影した8mmを眺めるシーン、隔たれた空間越しに交わされる会話など。多くを語らずともそこに映像はあるということでしょうか。
何度でも見たくなる不思議な作品です。
映像から受ける印象はこれから見る度に少しずつ変容していくような気もします。
ライ・クーダーによる哀愁ただよう渇いたギターの旋律も外せない。