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パリ、テキサスのsayanaのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.9
観ているだけで喉が乾いてきそうなテキサスの荒野。殺風景な砂漠の風景が心の機微を表現するのにこんなにもぴったりだったなんて。癒えない傷を抱きながら、どうにもできない後悔の念を抱えながら、ただただ車を走らす親子の姿に心がギュッとなった。無骨な男ほど家族の記憶を鮮明に覚えてる。劇的にではなく、淡々と描く感じが本当に美しかった。観た後自分の感度が高くなるのを感じる作品でした。
トラヴィスとハンターの会話がいわゆる親子っぽくなくて良かった。年頃的にも宇宙に興味津々なハンターは会話にもよく宇宙を引用していて、あたかも宇宙が身近なものかのように話す。素直に物事の本質を突くハンターに脱帽。
多分私を含め、この映画を観たほとんどの人が息を呑んだであろうピンクのモヘアニットに身を包んだナスターシャ・キンスキーが登場する場面。ハッとするような美しさなのに、気取らない感じ、憧れる。
もしかしたら『her/世界でひとつの彼女』もこの作品に影響されてるかも。(セオドアとトラヴィスの服装・風貌が似てる。)
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