あーさん

やかまし村の子どもたちのあーさんのレビュー・感想・評価

やかまし村の子どもたち(1986年製作の映画)
4.3
子どもが主役の映画特集〜第7弾

(今作でこの特集は一旦おしまいにします)

アストリッド・リンドグレーンと言えば「長くつ下のピッピ」「名探偵カッレくん」「ロッタちゃん」シリーズでも知られるスウェーデンの著名な児童文学者。
この度Wikiを読んでいて、1970年代に宮崎駿が「長くつ下のピッピ」を映画化したいと申し出るもダメだった、と知る。
なるほど、世界観は似ているかも。。

「長くつ下のピッピ」は幼少時より知っていたが、実は今作は未読。
映画の存在も最近知ったという次第…。
なので、フィルマークスでの高評価に胸をときめかせながらの鑑賞!


脚本はリンドグレーン本人が手がけているので、全く違和感がない。
7歳の女の子リサとその兄のラッセとボッセ、ブリッダとアンナ姉妹、オッレと幼い妹のシャスティン…村の子ども達はそれで全員。全部で三軒しかないやかまし村の人々のゆったりとしたのどかなひと夏の暮らしが、美しい自然とともに丁寧に描かれる。

もう帰ってこない子ども時代、なんて言うことは簡単だけれど、、なんとも言えない幸せな感じがこの映画の中にはいっぱい詰まっている。
何だろうな、胸がギューってなる
懐かしさ。

そして、子役の子ども達の演技がなんて自然で伸びやかであること!

みんなのおじいちゃん、
お父さん、お母さん
きょうだい、友達
おじちゃん、おばちゃん
お手伝いさん
顔見知りの店員さん…

皆が自然に助け合っていたわり合っている姿が
いろんな事情で核家族で生活せざるをえない
また近所付き合いもデメリットしか見えなくなってしまった
現代人からすると(良いことばかりではないんだろうけれど)ある意味羨ましくて仕方がない。
ずっと同じ場所に住めるなんて
転勤族には考えられないし。
実家とか妹達家族と近くに住みたかったなぁ…。
ノスタルジーという言葉が頭をよぎる。


新聞の死亡記事の文面の優しさ、
いつも弾ける様に笑っている子ども達、
出かける時は常に歌っている子ども達、
男の子と女の子が悪口言い合いながらもわいわい楽しくやっている様、
子ども達だけでいろんな所に出かけてのびのび遊んでいる様、

素敵だな、良いなって憧れる。

窓のカゴでのやりとり、馬車、遭難ごっこ、新しい言葉作り、おつかい、干し草の上で寝る、オッレと犬、魚釣り、結婚相手占い…

何でもない日常の1つ1つのエピソードが、キラキラと輝いて見えるのはなぜだろう?

今の都会の子達の失われてしまった温かい気持ちのやりとりや不自由さを思うと…。

もう手の届かないもののような気がして、
何となくさみしい思いがして、
少しだけ、
泣いてしまった。。



”私も行きたい!”と毎回泣くおチビちゃん、オッレの妹シャスティンがたまらなく可愛らしい!!
結婚するなら俺について来いタイプのラッセにも惹かれるけど、やっぱり優しいオッレが良いかなぁ♡



追記

やかまし村のモデルとなったのは作者リンドグレーンの故郷、スウェーデンのイェータランド、スモーランド地方。
実は1900年代初頭の村を再現したアストリッド・リンドグレーンワールドなるものがあるらしい。
しかし、バスを降りてからのアクセスが徒歩しかなく。。訪れた人はいるものの、英語も通じないらしいし、なかなかたどり着くのは大変のようだ。
行ってみたい場所リストに入れたかったが、これも体力・気力と相談⁈
あーさん

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