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殺したいほど愛されてのtakのレビュー・感想・評価

殺したいほど愛されて(1984年製作の映画)
3.3
ナスターシャ・キンスキー主演作がふと観たくなってセレクト。むかーし観てるはずなのだが、驚くほど内容を覚えていなかった。あの頃ダドリー・ムーア苦手だったからか、夫婦の機微が当時まだわからなかったからか。

指揮者として成功しているクロード。年齢の離れたイタリア人の美しき妻ダニエラとの結婚生活も順調。マネージャーとの行き違いから妻の身辺を私立探偵に調査を依頼してしまった。気にしないつもりでいたクロードだが、調査結果から妻の浮気が疑われる。しかも相手は美男バイオリニストのマックスか!?。クロードはついにマックスと妻を殺害しようと企てる。

クロードの勘違いであることは、早々にわかってしまう。観客は事情をわかった上で噛み合わない登場人物たちのすれ違う会話や気持ちを「あらあら、そうじゃないんだよー」と思いながら見守る立場だ。その様子は確かに面白おかしい。でもエンドクレジットを迎えてなーんか物足りなさを感じずにはいられなかった。それはやっぱり夫婦っていいもんだよね、信じることって大切だよね、というメッセージを期待してたからだ。そこがこの映画を人情喜劇として面白いと感じられなかった理由かも。

しかし音楽映画としては凄みを感じさせてくれる。オーケストラの演奏シーンはもちろんだが、最大の見どころはダドリー・ムーアとアーマンド・アサンテのバイオリン演奏バトル。睨み合って、威嚇し合う二人。コミカルなだけでなく、技術に裏付けされた名場面。ダドリー・ムーアはそもそもバイオリンを弾ける人なので、この場面は迫力が違うぞ。そしてナスターシャ・キンスキーは、シリアスな映画では見られない笑顔と無邪気さが魅力的。
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