なんて良い映画を見逃がしていたんだろう。
徹底的に悲しくて切なくて、それなのになぜかすがすがしいような、、、
なぜタイトルが「パーフェクト・ワールド」なのか、
わからないけれど、そうとしか言えないような、、、
なんとも言えない余韻を残し、今も目頭が熱くなる。
ケヴィン・コスナーを誤解していた。
この映画の前年の「ボディーガード」のせいか、
当時、ちょっと年上のおばさま方のアイドルっぽくて、
この人の映画を観るのが、ダサい気がしていた。
もう偏見も偏見。反省。
脱獄犯ブッチの役だが、はじめは悪人に見えなくて、適役ではないと感じた。
しかし、それは狙っていた効果だったんだね。
人質にされたフィリップが、ブッチを本物の悪人でないと見抜くように。
脱獄犯と人質の少年の逃亡ロードムービー。
フィリップはブッチを怖れながら、その優しさに惹かれ、
父親のように、とまではいかないが、慕うようになっていた。
この経験は、彼の人生に何をもたらすのかな。
演技もすばらしかった。
これ以上、罪を重ねないで、目的地にたどり着いてと願いつつ見守る。
ラストへの展開は衝撃だった。
そうなって欲しくなかった。
しかし、だからこその余韻と、あのパンチと膝蹴りのキレ味。
監督イーストウッドだものね。
脱獄犯ブッチを追う保安官の役でもある。
ブッチとは過去に因縁がありそうだが、はっきりとは語られない。
彼の生い立ちを知っていて、同情を抱きながら、追っている。
人はなぜ罪を犯すのか。
罪を憎んで人を憎まず。
逃げる側と追う側それぞれの描写もバランス良くて、
重くなりすぎず軽妙さもあり、
なんとも言えない、本当に名作だった。