みっちゃん

パーフェクト ワールドのみっちゃんのレビュー・感想・評価

パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)
4.5
なんて良い映画を見逃がしていたんだろう。
徹底的に悲しくて切なくて、それなのになぜかすがすがしいような、、、
なぜタイトルが「パーフェクト・ワールド」なのか、
わからないけれど、そうとしか言えないような、、、
なんとも言えない余韻を残し、今も目頭が熱くなる。

ケヴィン・コスナーを誤解していた。
この映画の前年の「ボディーガード」のせいか、
当時、ちょっと年上のおばさま方のアイドルっぽくて、
この人の映画を観るのが、ダサい気がしていた。
もう偏見も偏見。反省。
脱獄犯ブッチの役だが、はじめは悪人に見えなくて、適役ではないと感じた。
しかし、それは狙っていた効果だったんだね。
人質にされたフィリップが、ブッチを本物の悪人でないと見抜くように。

脱獄犯と人質の少年の逃亡ロードムービー。
フィリップはブッチを怖れながら、その優しさに惹かれ、
父親のように、とまではいかないが、慕うようになっていた。
この経験は、彼の人生に何をもたらすのかな。
演技もすばらしかった。

これ以上、罪を重ねないで、目的地にたどり着いてと願いつつ見守る。
ラストへの展開は衝撃だった。
そうなって欲しくなかった。
しかし、だからこその余韻と、あのパンチと膝蹴りのキレ味。

監督イーストウッドだものね。
脱獄犯ブッチを追う保安官の役でもある。
ブッチとは過去に因縁がありそうだが、はっきりとは語られない。
彼の生い立ちを知っていて、同情を抱きながら、追っている。
人はなぜ罪を犯すのか。
罪を憎んで人を憎まず。
逃げる側と追う側それぞれの描写もバランス良くて、
重くなりすぎず軽妙さもあり、
なんとも言えない、本当に名作だった。
みっちゃん

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