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キック・アスのトルーパーcomのレビュー・感想・評価

キック・アス(2010年製作の映画)
3.5
ヒットガールことクロエ・グレース・モレッツちゃんの無双シーンとめちゃくちゃな言葉遣いをただただ楽しむ映画。
・・というのは誰でも知っていると思うので、別の感想を書いてみる。

<以下、中盤のネタバレあり>

■ヒーローとは
ヒーローといえば、スーパーマンやマイティ・ソーのような超人を思い浮かべるだろうか?
それともアイアンマンやバットマンのような魅力的な武器を駆使するマスクマン?

昨今映画界で大活躍する彼らは"スーパー"ヒーローだ。
スーパーヒーローたちは、我々普通の人間にはない特別な力で正義のために戦う。
けれど、「ヒーロー」の本質的要素はそういった特別な力にあるのではない。特別な力を持っていればヒーローだというのなら、ヴィランたちもまたヒーローということになる。

マーベルシネマティックユニバースにはものすごい力をもつスーパーヒーローたちがたくさん登場するが、その中でもとりわけ人気のヒーローにキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースがいる。

キャプテンは我々観客にとっても人気のヒーローであるが、劇中世界の人々にとってもいちばんのヒーローである。

「キャプテンの命令だ」
「キャプテンアメリカは私の命の恩人」
「キャプテンの頼みは断れない」
MCU作品内で何度も語られた、キャプテンこそがヒーローであるという人々のセリフ。

この言葉が生まれるのは、キャプテンが超人的身体能力を持つからでも、無敵の盾を持っているからでもない。
キャプテンが人々を、アメリカを救ってくれた英雄だからこそ、人は彼をヒーローと呼ぶ。
ヒーローとは、ピンチに助けてくれる英雄的行動を見せてくれた人物のことなのだ。


■英雄キック・アス
さて本作の話に戻そう。
なんの力ももたないギークの青年デイヴは、ネット通販で購入したコスプレのスーツを着て自称ヒーローとして活動を始めるが、初戦でいきなりナイフで刺され車に轢かれるハメになる。
大いなる力を持たない者がヒーロー活動なんて始めてしまうとこういう目にあってしまう。これが現実。

しかし彼はこりもせずヒーロー活動を続ける。
カッコイイと思われたいから?そうではない。街のチンピラたちが好き放題やっているのを黙って見てみぬふりをする人々が許せない。
3人がかりでなんの罪もない1人をリンチすることが許されるのか?大いなる力がないと彼らを守れないのか?
デイヴはチンピラに臆せず言い放つ。

『お前らの暴力をみんな黙って見てる』
『僕は死んでも構わない。かかって来いよ!』

「コイツ正気じゃねえ!」デイヴの覚悟に狂気を感じたチンピラたちは去って行った。

リンチを受けていた被害者の心からの『ありがとう』
一部始終を見守っていた少年が興奮ぎみに叫ぶ『マジすげー!最高だったよ!あんた誰?』

『僕はキック・アス』

彼の雄姿は一躍ネットで最多再生回数を記録。
何の能力も持たないキックアスは、その英雄的行動で一夜にしてNYのヒーローとなった。
ボコボコにされていた被害者にとって、キックアスは自分の命を救ってくれた正真正銘のスーパーヒーローだ。

スーパーヒーローの能力を持たない主人公を描くことで、ヒーローとはなんなのか?の本質を描く。
実はキック・アスこそが真のヒーロー映画なのかもしれない。

この後物語はビックダディとヒットガールの大活躍や、レッドミストの登場など、怒涛の展開を見せていき、興奮のアクションシーンあり、ちょっとやりすぎ感のあるぶっ飛んだ演出ありと混沌とした展開のまま駆け抜けていく。だが本作のいちばんの山場は、実はキック・アスがヒーローとなった中盤のこのシーンだったのではないか。

クロエちゃんの雄姿に胸躍らせるのも悪くはないが、勇気1つでヒーローとなるデイヴの物語をメインにした方が感動できる作品に仕上がったのではないかなと思いました。

■評価
本作については残虐描写/児童虐待ともとられかねない描写/下衆なセリフで減点をつける声も多いけれど、そういう人はこんな映画観にこなきゃいいんじゃないですかね。
ちょっと逸脱したシーンがあるとすぐに騒ぎ立てる勢力が映画をつまらなくしてしまいます。
なのでココに関する減点はなし。
ただ、終盤の展開の現実離れ感/デイヴのキャラクター崩壊ぎみの活躍/若干お粗末なCGは減点かなということで★3.5にしました。
この映画は減点式だと点数伸びない作品ですね。
ヒットガールのアクションシーンに1億点つけて絶頂してる人もたくさんいると思いますので、点数以上の価値はある作品であることはまちがいないです。

■最後に
ちなみに主人公デイヴを演じたアーロン・ジョンソンは、アベンジャーズAOUでクイックシルバーことピエトロ・マキシモフを演じているんですよね。
あと、悪役のフランク・ダミーコを演じたマーク・ストロングは、キングスマンシリーズでは人気キャラのマーリンを演じています。
2人とも正直同一人物には見えない。。。
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