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キック・アスの教授のレビュー・感想・評価

キック・アス(2010年製作の映画)
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ヒーロー映画は、MCU全部観たし、正義みたいなものをちゃんと時代に即して描いていることに感心する。

一方で本作のようにある意味で徹底的にそれをおちょくったというか、悪意のあるパロディとして真摯に製作されている作品って意外にない気がする。

そして、そんな作品こそ誰もが本当に観たかった作品なのではないかと思ったりする。

本作はR指定なだけあって非常にバイオレンス描写も気が利いていて、作中11歳ぐらいじゃないか?と言及されていたクロエ・グレース・モレッツが15歳以上視聴禁止の映画に出てんじゃん、という驚きと楽しさに満ちていた。

つまり倫理とか、道徳とか、ましてや正義とかこの映画にはないのである。
最初に「ゲイ表現」について正直僕は首を傾げ眉をひそめた。
描き方自体は僕はあまり良いとは思わなかったが、しかし作品全体を通したモラルのなさは一貫していてとても清々しさを感じてしまったのは事実。

冒頭からのユルイ展開や。アーロン・テイラー=ジョンソンのオタク少年からのリア充クソ野郎、そしてヒーローになりなんとも立派な男前に変貌する(そしてあの美人なガールフレンドの途中退場)など、人物の心情の流れの変化と、その割に先の読めない展開と、物語構成も見事。

ニコラス・ケイジ(彼はスーパーマンオタクらしい)の怪演もさることながら、やっぱりヒット・ガールのクロエ・グレース・モレッツの荒唐無稽なキャラクターと、こういう作品を芦田愛菜で、なんで日本で先にやっておかないかなぁという悔しさを感じるほど魅力的なキャラクターに仕上がっていた。

前述した通り、モラルがないからこそ、この作品は独自のヒーロー像。正義に対しての懐疑的ユーモアとして、強い存在感のある物語、映画になっていると思った。
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