イチロヲ

キサラギのイチロヲのレビュー・感想・評価

キサラギ(2007年製作の映画)
2.1
自殺を遂げた女性アイドルを追悼するため集まった男性ファンたちが、彼女の死の真相を追究していく。人気を博した舞台劇を、ワンシチュエーションの形態のままで映像化させた作品。

本作品は「映画に何を求めているか?」についての考え方の相違によって、評価が大きく分かれるところだろう。

私の場合はというと、舞台劇から映画へのコンバート(変換作業)が、個人的な期待値を大きく下回っていると感じられた。

とにかく、映画的な演出がことごとく反故にされており、説明口調の台詞のみで物語が進行する。映像を見れば理解できることを、台詞でも喋ってしまう。誰かが発言すると、別の人が大仰にツッコミを入れて、ここが重要(笑いどころ)だと教えてくれる。そんな、極めて演劇的なスタイルに終始一貫している。

要するに、「映画的手法」というものが、まったく盛り込まれていない。

映画らしさを感じないという指摘に対して、「元が舞台劇なのだから仕方ない」というフォローを散見するが、それもどうかと思う。「仕方ない」と思わせないように映画へとコンバートさせるのが、映画製作者の役割ではないのかと、どうしても私は思ってしまう。

物語の伏線回収にしても、映像では写されていなかった、映像外の情報を台詞で付け足しているだけなので、とてもじゃないが誉められたものではない。というか、これは伏線回収といえるのだろうか?

好意を抱いた点に関しては、日本特有のアイドル文化の在り方についてを考えさせられる内容になっているところ、音楽にインドネシアのケチャを起用しているところが挙げられる。それから、「舞台劇は面白い」ということが伝わってくるので、舞台版の広告塔としては、しっかり機能していると感じられる。