和桜

ゴモラの和桜のレビュー・感想・評価

ゴモラ(2008年製作の映画)
3.3
イタリアのナポリに巣くうマフィアたちの日常。スーツ姿の幹部なんて出てこない、正直誰が地位のある人間だったのかも見分けがつかない程にくたびれた姿しか映らない。
マフィアに憧れる少年、縄張りを荒らす二人組、マフィアの集金係、仕立屋の男、違法な産業廃棄物業者、五組の行動がドキュメンタリータッチで進んでいく。一見関係が無いように見える人たちの裏側までを映すことで、マフィアの存在が引き離せないほど地域に根ざしていることがよく分かる。

根底の部分にあるのは貧困や再分配の問題であって、生きていくためにはマフィアになるか彼らに頼るしかない。頼ったところで借金が減ることは無いわけだけど。
子供同士が「次に会ったときは敵同士だ、このまま行くといつか殺しあう事になる」みたいなことを言うんだけど、これはごっこ遊びではなく現実にそうなるんだと実感させられる。
あまりにもリアルで淡々としていて、正直本人達が感じてる諦めにも似た感情に飲み込まれて、それしか抱けなかった。それぞれの決断や結末はかなり印象的なんだけど。
原作は『死都ゴモラ 世界の裏側を支配する暗黒帝国』で、これを書いたことで作者は殺人予告を受けて海外で暮らさざるを得ない身となってる。映画とは少し違うらしいのでセットで見たい。
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