カタパルトスープレックス

シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリックのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

4.0
ヤン・シュヴァンクマイエル監督の最初の映像作品です。二人のマジシャンによる奇術対決を描いた作品です。デビュー作ですでに世界観が確立されているのにビックリ!😃

ヤン・シュヴァンクマイエル監督は『アリス』(1988年)で長編デビューをしますが、元々は人形劇/仮面劇の作家でした。そのためか、本編もメインは仮面劇となっています。ストップ・モーション・アニメーションはほんの少しだけ、控えめに使われている程度です。

この作品を観ると、ヤン・シュヴァンクマイエル作品に重要なのは「世界観」であって、「表現手段」ではないと気づきます。人形でも仮面でもアニメーションでも手段はなんでもいい。

デビュー作品ですでに作家性も現れています。仮面の中に様々な仕掛け。虫。「機械仕掛け」や「昆虫」はその後のシュヴァンクマイエル作品で繰り返し使われるモチーフです。そして、動作と効果音。動作に合わせて音が鳴る。この単純かつ効果的な手法もすでにデビュー作から顕著です。視覚と聴覚の両方から世界観を構築するのがシュヴァンクマイエル流なんですね。