チッコーネ

鉄火場の風のチッコーネのレビュー・感想・評価

鉄火場の風(1960年製作の映画)
3.0
「裕次郎に赤木圭一郎、宍戸錠と揃う豪華版だな、お正月用かしら」と思いきや、タイトルロールで赤木の名の横に(新人)とあり、「え?」と驚き。
本作は1960年1月の公開で、彼の死は翌年の2月…、何かの間違いかと思い赤木本を調べてみたのだが、60年だけで彼の主演映画は10本以上も封切られている…、誇張でなく月1本ペースなのだから、無茶苦茶だ。
赤木圭一郎は2年弱、馬車馬の如く働き、急速にスターとなった後、急逝したのである。
本作では助演に回っているせいか、口汚いセリフが多め、それが却って新鮮に映った。
しかし彼の歌唱は、本作で主題歌を歌う裕次郎が「なんてうまいんだろう」と感じられるぐらい、本当に酷い。
また同年は北原三枝の結婚引退の年でもあり、本作は末期の出演作となる…、冒頭から黒ずくめのファム・ファタールぶりが堂に入っていた。
鉄火場とタイトルにあるが、見せ場は二転三転。
小沢栄太郎まで担ぎ出しているものの、賭場中心の物語では決してなかった。
多すぎる登場人物を90分弱でよくまとめているが、復讐ものとしては情念が弱め。